★10月の星空
本格的な秋が訪れる10月。長い間天頂に君臨していた夏の大三角がようやく西へと滑り落ちる。そしてこんどは「天高く馬肥える秋」の言葉どおりに、ちょっと太めのペガスス座が南中する。
ペガススといえば秋の四辺形でおなじみだが、この四辺形が南中するのはあと2時間ほど過ぎてからのことだ。そのころ南から天頂に向けて首を曲げて、もう少しで天頂というところで、2等星3個と3等星1個がつくる台形が目に入る。これが秋の四辺形である。正方形か長方形のほうがピタリ決まってカッコいいのかもしれないが、台形だったおかげで秋の星座のガイド役を勤めてくれる。
ま ず、西の辺をどんどん北に延ばしてみよう。すると北極星にぶつかる。今度は南に延ばしてみると、秋の唯一の1等星フォマルハウトが見つかる。今度は東の辺を北に延ばしてみよう。するとカシオペヤ座のβ星を通って、なんとこちらも北極星に辿り着く。では南に延ばしてみると春分点のすぐ東を通って、くじら座のβ星ディフダにぶつかる。明るい星が少なくて寂しいかぎりの秋の星空だが、今年はみずがめ座とうお座の境界付近で0.8等の土星が輝いているおかげで、いつもより華やいでいる。

いつもより遅めの名月を見よう
10月6日は中秋の名月
満月は1ヶ月に1回あるのに、どうして秋の満月だけ特別に祝うのだろう。中秋の名月は、必ず旧暦の8月15日に祝うと決まっている。8月は夏なのになぜ秋かというと、太陰太陽暦(旧暦)では7月、8月、9月を秋として7月を初秋(孟秋)8月を中秋(仲秋)、9月を晩秋(季秋)と呼んでいたので、8月は中秋となるわけ。名月と付いているのは、旧暦8月は大陸の乾燥した空気が秋風となって流れ込んでくることにより、透明度が良くなって、一層月の光が冴えるからだ。ちなみに「ちゅうしゅう」には、「中」と「仲」両方の漢字があてられるが、「仲秋」は旧暦8月を、「中秋」は旧暦8月15日を指すことばだ。
中秋の名月は現在のカレンダーではおおむね1ケ月遅れの9月に巡ってくるが、今年は10月6日と10月にずれ込んでいる。
今年の旧暦では閏月が入る年に当たっていて、6月に閏月が入り6月が2回あったため、7月以降新暦に対してさらに1ヶ月後ろにずれてしまった。その結果、今年の旧暦8月15日は新暦10月6日となり、2ヶ月近くも後ろにずれる結果となったのだ。ちなみに旧暦9月13日の十三夜(後の月)も今年は11月2日と遅めとなるのだ。
