最近の星空

 

★9月の星空

地獄のように扱った8月が終わり9月を迎えたが、暑さは全く遠慮する気配がない。とは言うものの、日が暮れる時刻は確実に早くなっていて、夏至のころと比べると日没時刻は50分近く早くなっている。また太陽の南中高度も16度も低くなっている。おかげで朝夕は、秋を少しだけ感じさせるさわやかな風が吹いている。
初秋とはいえ、星空もまだまだ夏の装い。さそり座は南西の地平線にへばりついて風前の灯だが、夏の大三角などはやっと南中したばかりで、さあこれから夏本番と言わんばかり。それでも東の空からは秋の星座たちが静かに登場してきている。それにしても天の川を境にして東側の何と星数の少ないことか。1等星はみなみのうお座のフォーマルハウトただひとつ。それも南に低いために輝きに元気がない。“秋のひとつ星”ということばがぴったりの星だが、ここ今年は秋の四辺形の南で土星が光っていて、いささか様子が違う。

 

 

土星が見ごろに
9月22日 土星が衝
  木星に次いで太陽系ナンバー2の惑星、土星。リングのある惑星として人気度はNo.1だ。
この土星が9月22日に衝を迎え、観望チャンスとなっている。土星を見つけるのは簡単だ。秋の四辺形(ぺガスス座)の南にある0等星を見つければいい。木星や金星ほど明るくはないが明るい星が少ない秋の星空では十分目立っている。
 土星の魅力は何といっても本体を取り巻くリングだ。リング自体は、木星にも天王星にも海王星にも発見され土星特有のもではないことがわかっているが、小型望遠鏡では土星のリングしか見ることができないのでなおさら神秘さが募る。
 このリング、一般的にいつでも見ることはできるのだが、実は毎年少しずつ傾きが変化している。理由は、土星が太陽のまわりを約30年かかって公転するうちに、我々の地球は土星を北から見上げたり、南から見下ろしたりするためだ。そして約15年に一度地球からは土星のリングを真横から見るタイミングが訪れ、そのときは薄いリングが見えなくなる「環の消失」を迎える。まさに今年がその年に当たっていて、すでに3月24日と5月7日に環の消失が起こっている。現在は地球と土星の軌道のわずかな傾きからリングの南側がかすかに見えている状態だ。今後11月25日に3回目の環の消失を迎えるので、夏から秋にかけてリングが見える数少ないチャンスと言える。