最近の星空

 

の星空

 5月になって,さわやかな風に乗って青空に鯉のぼりが舞うようになると,山里のもようやく遅い春が訪れる.冬の星空をにぎわしたオリオン座の姿はすでになく,冬の最後の砦,ぎょしゃ座・ふたご座・こいぬ座は,まるで雪解け水が流れるように,西の地平線に落ちて行く.冬の間夜空で輝いていた土星もそろそろ見納めが近づいてきた.
 南の空には,まだ寒い1月に東の空に顔をのぞかせたうみへび座がゆっくりゆっくり這い上がって,今ようやくその全貌を見せている.その長さは100゜にもおよぶ.長さはもちろん,1303平方度という面積も全天88星座のトップなのだ.南中しているうみへび座をよくよく見てみると,頭にかに座を乗せて,背中にはしし座がふんぞりかえり,しっぽにはおとめ座が寝そべっている.そしてその上にはおおぐま座にうしかい座がおもりのようにのしかかっている.どう見ても積載オーバーなのに,よほど鈍いのか,まるで平気な顔をして,春を満喫するかのようにのんびりと西へいざって行く.負けたとはいえ,さすがヘルクレスと互角に戦った怪物だけある.ひょっとしたら春の星座のスターは,ししでも,おおぐまでも,うしかいでも,おとめでもなく,実はこのうみへびなのかもしれない.
うみへびのしっぽまでたどったら,さらに先の南東の地平線で,ポストうみへびの座を虎視眈々狙っているさそり座のはさみに出会った.


 


5月6日 みずがめ座η流星群が極大

●今年は月明かりなしの最高の条件
 流星群とは、たくさんのチリが地球にぶつかることによって起こる現象だ。彗星の軌道上には、彗星自身の体を削りながら撒き散らしていった無数のチリが回っているが、地球軌道と彗星の軌道とが交差していると、地球は毎年1回同じころに必ずそのチリの中に突入することになる。そのときそのチリが地球に衝突してたくさんの流星を見られることになる。その流星群の素となるチリをばらまくのが、地球軌道の近傍を通過する彗星や小惑星というわけだ。それを母天体と呼んでいる。
 5月5日のこどもの日前後に極大を迎えるのが、みずがめ座η流星群。彗星の中でも超有名なハレー彗星を母天体に持つ由緒正しき流星群だ。それだけに放射点が高く昇る南半球では、ペルセウス座流星群に匹敵する流星群として注目されているようだ。ところが日本では、放射点が昇ってまもなく薄明が始まってしまうため、観測できる時間が限られるせいか、あまり注目されない流星群ではある。
今年のみずがめ座η流星群の極大は5月6日午前6時と予想されている。5月8日が新月で極大日の6日の月齢は27。明け方東の空に細い月が昇るものの薄明が始まってからのこと。つまり月明かりにほとんど影響されることなく観望することができるという、願ってもない高条件だ。
 観望は、放射点が東の地平線に姿を見せる午前1時30分ごろから明け方まで。放射点が低いので、いすに座ってコーヒーでも飲みながら南東の空を中心にのんびり流星ウォッチングをするというのもいいかも。地平線から上に向かって流星がながれるというオモシロイ光景に遭遇することだろう。