みどころ

 

5月初旬の明け方の東の空で月が土星、火星、水星とランデブー

 5月初旬の朝焼けで染まる東の空には、もう秋の星座たちが姿を見せている。明るい星の少ない秋の星空で真っ先に目に入るのは、みずがめ座で光る土星だ。そして東の低空には赤く光る火星が昇っている。また、東の空に赤みが増してくるころには、5月10日に西方最大離角をなる水星も見え始める。
 そんな3惑星が輝く東の空に、5月4日から6日にかけて、新月直前の細い月も加わって、よりいっそう華やかな眺めとなる。

 


5月4日 月と土星が寄り添う
 土星は、来年15年ぶりにリングの消失を迎えるため、1.2等といつもより暗めだが、そんな土星に5月4日には、月齢25の月が寄り添う。その間隔は約2.8度角。7倍双眼鏡の視野にバランスよく収まる。土星の清楚な光と優し気に光る細い月が、心を癒してくれるに違いない。

 

5月5日白昼 火星食

今年日本では4回の惑星食が起こるが、その1回目が5月5日の月と惑星の接近の直後に全国で見ることができる。
 ただ残念なことに今回は青空での現象ということで、決して条件が良いとは言えない。しかし火星は、最低光度を脱して1.1等級まで戻ってきたので、澄んだ青空の下でなら、口径10cm以上の望遠鏡を使えば火星をとらえることは可能だ。逆に月齢26の月を見つけるほうが厳しいかもしれない。火星の検出方法は、自動導入望遠鏡を使うか、赤道儀なら太陽と火星の赤経赤緯値を調べておいて、その差分を目盛環見ながら望遠鏡を動かして導入することができる。
 東京での潜入時刻は12時11分で高度は33度、出現時刻は13時20分で高度21度と観望しやすい高さだ。ちなみに火星の視直径は4.8秒角で潜入・出現に要する時間は10秒ほどとなる。
 当日は祝日。昼間の現象だからとあきらめないで、ぜひとも青空での火星食に挑戦してみよう。

 

5月5日 月と火星が並ぶ
 5月5日には、月齢26となりよりスリムになった月が、赤く不気味に光る火星と並ぶ。火星は、来年1月の接近に向けてやっと近づき始めたところで、まだ1.1等と暗め。月と火星の間隔は約4度角と広めだが、7倍双眼鏡の視野にきっちり収まる。地球照を伴ってソフトに光る細い月と赤い火星のコントラストを楽しもう。

 

5月6日 月と水星が接近
 5月6日には、月齢27となった月が、地平線上に顔を出したばかりの水星に近づく。間隔は6.3度角と広めで、7倍双眼鏡の視野に入るか入らないかといったところ。水星は火星や土星よりやや明るいので、地平線の透明度が良ければ意外に簡単に見つかるかもしれない。極細の月と朝焼けに負けまいと光る水星を見よう。